以前にも少し書きましたが、村田さんについて、少なくとも初期の5枚のアルバムは、「アルバム」という単位で聴いたことが多かったので(レコードまたはダビングしたカセットテープ)、それに含まれていなかった「ボーナス・トラック」が、アルバムを聴いている最後に出てくると、違和感を感じます。
単純に、ボーナストラックが始まる前に再生をやめてしまえばいいということなのでしょう。ただ、実際には、止める間もなく始まってしまうことがほとんどなのです。
また、当方の場合、ほとんどスマ―トフォンにコピーしたものを聴いているのですが、ならば、コピーする際にボーナス・トラックを除外するとか、フォルダを別にして続けて再生されないようにするとか、工夫はできると思います。
面倒がって、そういうことをしていないだけなのですが。
いずれにしても、「慣れ」というものは馬鹿にできなくて、この違和感は一生続くのではないかと想像しています。
最近では、シティ・ポップの範囲が拡大し、もともとの「シティ・ポップス」の範囲ともかなりずれが生じている(海外のリスナーが多く、もともとの範囲を知らないことも大きい)という状況のようです。その結果、「海」っぽい作品が、シティ・ポップの中心の1つとはならなくなり、シティ・ポップと呼ばれにくくなっているようです。(むしろ、ディスコ・ブギー系のビートが利いた作品が中心?)
現状はそうではありますが、もともと、1980年代にあった「シティ・ポップス」は、「海」「リゾート地」のようなテーマの作品をかなり含んでいました。
具体的には、山下達郎の一部の作品、大瀧詠一、角松敏生、そして村田和人などです。
ただ、1982年デビューの村田さんに対して、「シティ・ポップス」という言葉がどの程度使われていたかは、定かではありません。1982年は、時期的には、もしかすると、やや遅いかもしれません。当時、村田さんへの「シティ・ポップス」という言葉の使用例があるか、あったとしてもどの程度あるか、どのような使い方だったのかは、確認の必要があります。
こう書くのは簡単ですが、当時の資料などは、なかなか見ることはできないでしょうから、そのような確認はかなり困難だと思います。
他方、「海」系統の作品があるかどうかにかかわらず(山下達郎すら海系統の作品がメインなわけではありません)、それ以外のアーティストも、シティ・ポップスと呼ばれていましたので、当時から「海」や「リゾート」だけがシティ・ポップスのテーマではありませんでした。
例えば、山本達彦(渡辺香津美、田辺信一、松任谷正隆、井上鑑)、濱田金吾(松下誠、山田秀俊、倉田信雄、佐藤博)、黒住憲五(松原正樹、武部聡志、清水靖晃)、稲垣潤一(井上鑑)、竹内まりや・松原みき(林哲司)など。
(かっこ内は、主たる編曲家)
ところで、高中正義がシティ・ポップスだったという意見もあるようですが、「フュージョン」なので少なくとも当時は違うでしょう。当時そう銘打ったCDも出されているようですが1点程度で、高中正義の作品が「海」っぽい音楽ということから、レコード会社が無理に含めようとしたのでしょう。その試みが成功していた(高中正義が広く「シティ・ポップス」と呼ばれていた)とは言えません。売り上げを得たいという理由から、あまり音楽のジャンルの範囲を混乱させないで欲しいものです。もちろん、当時の「シティ・ポップス」に含まれていなくても、高中正義を現在の「シティ・ポップ」に含めようとするのであれば、それは自由ですが。
なお、黒住憲五の1stアルバム『Again』は、1982年.です。奇しくも、村田さんの1stアルバム『また明日』と同じ年ですね。
No,1270でも少し書きましたが、最近は、「オリジナル・カラオケ」という表現は使われなくなってきているようです。
替わりに使われている言葉は、例えば、以下のような言葉です。
「Instrumental」
「Backing Track」
「Vocalless Version」
「offvocal version」
最後の「offvocal」という表現は「和製英語」とのことですが、「vocalless」という単語も存在しないようです。ほかにも、いろいろとあるようで、歌手によっては自分専用に表現を作り出している例もあるそうです。
「オリジナル」という言葉を追加したとしても、「カラオケ」というと、「カラオケ店」のイメージが強すぎるから、ということで、避けられる傾向にあるのかもしれません。
また、以前は難しかったみたいですが、最近は、というかもう10年ぐらい前からであれば、オリジナル音源(マスターテープ?)からリミックスする際に、ボーカルだけ落として新たにカラオケを制作するということは、比較的容易になったようです。以前はカラオケ・バージョンなどなかったはずなのに、突然カラオケがボーナス・トラックで出現するという場合は、新たに制作したケースのようです。
その性能の可否はともかくとしてすでにアプリがいくつか存在するようですが、やがて、非常に高性能なアプリが出てきて、個人でも、普通にボーカルのある音源からボーカルだけを落として良質なカラオケを容易に制作できる時代がやってくるかもしれません。そうなると、カラオケ作品がやたらに出現するかもしれません。著作権法上は問題があるのかもしれませんが、YouTubeなどにも。
そうなったら、当方でも制作してしまうかもしれないですね。村田さんのあの曲とか、あの曲とか、想像をめぐらしても面白いかもしれません。また、カラオケといっても、自分が「歌う」ためということだけが目的とはならず、歌を除くことで、演奏についても新しく見えてくる(聴こえてくる)ことがあったりもします。
村田さんの話題ではなく申し訳ありませんが、村田ファンならば、おそらく「なかなかいい」と思っていただけるのではないかという作品なので、ご紹介します。お赦しください。
長江健次
URBAN EXPLORER
発売日:2024年07月17日
規格品番:NGE-1006
レーベル:CIMS Music Entertainment
SKU:4580288591965
長江健次というと、当方くらいの世代であれば、「欽ドンのイモ欽トリオのフツオでしょ」と思って見向きもしない可能性があります。しかし、今回のこのミニアルバムは、川村康一さんが全6曲とも作詞・作曲だということを付け加えると、少しはご関心を持っていただけるのではないでしょうか。実際、聴く価値はあります。
Spotifyでも簡単に聴くことができますので、まずは、とにかくお試しください。
なお、6曲のうち2曲は、村山晋一郎さんというかたが編曲をなさっているということがわかりましたが、困ったことに残りの4曲については編曲がどなたかという情報がありません。タワーレコードやHMVのこのアルバムのページにも情報がありません。Amazonはこのアルバムに限らずもともと編曲の情報は一切ありません(転載しているメーカーによる紹介などで言及していなければ)。
今回は、CDもあるので、それを購入すれば究極的にはわかるとは思いますが、現在、CDがなくて配信だけというケースも多いわけですから、制作側(アーティスト、ミュージシャン、レコード会社などのメーカー)は、もっと積極的に情報発信をしていただかないと困ります。参加した全ミュージシャンのクレジットをネットに掲載しろなどとは(本当は言いたいのですが)申しませんが、作詞・作曲・編曲の情報くらいは網羅していただきたいところです。
情報不足にはいつもいつも悩まされます。
と話題がずれましたが、とにかく、「一聴」を強くお薦めいたします。
海賊盤(海賊版)は、「マンガ」では大きな問題になっていますが、音楽ではそれほどでもないように思います。とともに、むしろ洋楽が対象となっていることが多いようです。
CDだと簡単にコピーできてしまうし、配信もあるから、それほど「海賊盤」が求められていない、「市場」が小さいということでしょうか? ただ、発表されているCDそのものの海賊盤ではなく、CD化されていない音源などは、(どういうルートで海賊盤になるのかという問題はあるにしろ)海賊版となっているケースはいろいろあるようです。そういうCDがあれば、確かに、価値はあるでしょうね。例えば、LIVE音源を勝手に「海賊盤」にする、というようなものです。
幸い、村田さんの作品に関しては、海賊盤の例は、寡聞にして知りません。もしも、村田さんの「海賊盤」が存在したら、珍しい(レア)ということで、(一部のファンの間では)価値が出てしまうかもしれません。いわば、「見本盤」のような位置づけで。