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レコードコレクターズ2022年9月号
特集「シティ・ポップの再定義」
ミュージック・マガジン社
880円
シティ・ポップ(ス)が、様々な人の様々な発言により、非常にあいまいなものになってしまっている現状を受け、「再定義」をしようという特集のようです。
その中で、新たに「シティ・ポップを再定義するアルバム127枚」が取り上げられ、紹介されています。とはいえ、もともとシティ・ポップ(ス)と呼ばれるようなアルバムから、これは違うだろうというアルバムまで、さまざまです。「再定義」どころか、かえって定義の「拡散」を助長している、というか定義を「薄めている」ような気がします。
それはそれとして、その中に、パイパー(Piper)のアルバムが1枚(セカンドアルバム)含まれていましたので、ここでご紹介します。
p60上段
パイパー
Summer Breeze
ユピテル YV271003 [1983.5]
今や、パイパーは、5枚の全アルバムが入手できるようになり、知名度も大変あがりました。ネット上にも情報がたくさんあるようです。1980年代当時からのファンとしては、非常に喜んでおります。
とともに、特に山本圭右さんの今後のご活躍にも期待しています。
村田さんの6枚目のアルバム『GO POP』(1988年10月5日)と7枚目のアルバム『太陽の季節』(1989年6月14日)が2022年10月26日にユニバーサルミュージックから再発される予定です。
GO POP
規格品番:UPCY-90132
SKU:4988031524206
太陽の季節
規格品番:UPCY-90133
SKU:4988031524213
価格が1650円と安く(ただ、今年2月発売の『ひとかけらの夏+2』とは異なり「SACD」ではない?)、再発自体はいいことのようにも思いますが、東芝EMI・EastWorldの3枚のアルバムのうちなぜ2枚だけなのか(残りの1枚は、8枚目の『空を泳ぐ日』(1990年7月25日))、とか、2011年盤にはあったボーナストラックがなぜなくなっているのか、とか、つっこみたくなってしかたありません。
とともに、そもそも、同じアルバムが中途半端に一連の作品の中の一部だけ、しかも、収録内容も変えて(ボーナストラックがあったりなかったり)再発されることが続くと、非常にわかりにくい状態になる、ということを懸念しています。例えば、「最も新しい盤で、東芝の3枚のアルバムを聴いた」などという発言では、どのアルバムを指し示すのか、この2枚が再発されると、もうよくわからなくなるように思います。
なお、今回の『GO POP』『太陽の季節』再発は、「シティ・ポップの名盤復刻シリーズ「CITY POP Selections by UNIVERSAL MUSIC」第三弾」ということで、CD25タイトル、SACD3タイトル、アナログアナログ3タイトルのうちの2枚です。
https://tower.jp/article/feature_item/2022/08/10/0705
今回の再発の中では、村田さんとは直接関係はありませんが、個人的には桐ヶ谷仁の『indigo』に特に関心を持っています。ただ、桐ヶ谷仁の4枚目までと同じような、通常のボーカルのアルバムなのかどうかはよくわかりません。いつも指摘している点ではありますが、やはり、この世の中、情報が不足していますね。
今までも何度か書いてきていることですが、シングル曲(シングル・バージョン)やシングルのB面(CDSの場合にはc/w)の曲は、アルバムに収録されないことがしばしばあります。そして、村田さんの場合には、幸いなことに、そういった曲は、ほとんど、ボーナストラックとして収録されています。
ただ、個人的なことを書きますと、村田さんの各アルバムのボーナストラックをよく聴いているかというと、実はそうでもありません。ボーナストラックは、通常、もともとの収録曲のあとに収録されていますが(もしかすると、他のアーティストのアルバムではそうではないケースもあるのかもしれませんが)、聴くことが少ないという理由は、例えば、以下のようなことが挙げられます。
1.時間的に、ボーナストラックまでたどり着かないで聴き終えてしまう。
2.もともとのアルバムにはないボーナストラックを続けて聴くと、自分が持っているそのアルバムの感触を乱すので、あえて、ボーナストラックを聴きたくないと思って、やめてしまう。極端な言い方をすれば、ここで終わりのはずなのに、余計な曲がある、くらいの感度になる。「そのアルバム」を聴きたいと思って聴いているのに、「そのアルバム」に収録されていなかった作品まで聴かされる、という感度。
3.2点目は当方の印象・受け止めという、ごく主観的な点でしたが、逆に客観的にも、アルバムとしてここで終わり、という構成にしているはずなのに、そのあとに別な作品が続くのは、せっかくのアルバムの構成を壊す、ということ。(ただ、この点については、すでに、もともとレコードで発表されてのちにCD化されている初期の3枚の場合、A面・B面が連続して再生される場合の違和感、という問題もあることでしょう。)
なお、この2点目・3点目は、別の独立した作品を聴いていると、意図的にあえて「考えれ」ば、「解決」するの(「解決」するはずなの)ですが。
その結果、ボーナストラックになる前はほとんど聴いていないのはもちろん、ボーナストラックになっても聴きなれない、という状態のままになってしまっています。さらに、どのアルバムにどのボーナストラックが入っているかも覚えられない、という事実も、聴きなれない状態に拍車をかけていると思われます。
それはそれとして、村田さんのシングルのB面には、英語詞が多いように思います。多いといっても、次の3作品ですが。それでも、アルバムの作品に英語詞がほとんどないということに比べると、英語詞の割合が高いと思います。
・UP TO LOVE(作詞:Ralph McCarthy、作曲:村田和人、編曲:村田和人)
・1984年のシングル「WEEKEND LOVE」のB面
・『MY CREW』(2006年盤、2012年盤)にボーナストラックとしてに収録
・Dance With Me (作詞:John Hall、作曲:Johanna Hall、編曲:村田和人)
・1975年のOrleans(アメリカのバンドであるオーリアンズ)のカバー曲
・1985年のシングル「Show Must Go On」のB面、このシングルはA面がそもそも英語詞です
・『Showdown』(2006年盤、2012年盤)にボーナストラックとして収録。なお、「Show Must Go On」も『Showdown』です
・In The Southern Sky(作詞:CINDY、作曲:村田和人、編曲:村田和人)
・1987年のシングル「湾岸ウィング」のB面
・『Boy's Life』(2006年盤、2012年盤)にボーナストラックとして収録
この3曲の中では、個人的には、特に「UP TO LOVE」が気に入っています。
なお、Dance With Meの作詞:John Hall、作曲:Johanna Hallですが、確かに村田さんのCDでのクレジットでは、こう記載されています。しかし、Wikipediaの英語版を読んでみると(特に「Composition」の節)、
https://en.wikipedia.org/wiki/Dance_with_Me_(Orleans_song)
むしろ逆ではないかという気はします。おそらく原曲のクレジットには、詩曲あわせて、区別されずに2人の名前がJohn, Johannaの順に並んで記載されているのではないかと思います。
以前、CDやレコードに付されている「JAN」について探し出すことが難しいというようなことを書きましたが(「JAN」を調べる(1081)(2019年12月8日))、実は、レコードやCDのいわゆる規格品番も探すことが難しい場合があります。
Wikipediaの「村田和人」のページでふと気づいたのですが、シングル「SARA!/風とコロナ」(1989年)の品番(EP)が「RT07-2***」となっています。検索すればそんなものはすぐにわかるだろう、と高をくくって調べ始めたのですが、あにはからんや、さっぱり見つかりません。
「SARA!」の8cmCDSの品番「XT10-2331」やプロモーション用のEPの品番「PRT-1370」は見つかるのですが、それまでです。(なお、Wikipediaには掲載されていませんが、8cmCDS「SKY LOVE」の品番は「XT10-2043」です。)
この「SARA!」のEPの規格品番をご存じの方は、ぜひお教えください。
ネット上には、本当に情報が不足しています。
そもそも、村田さんの作品に限らず、このEPを出した「東芝EMI・EastWorld」が自社の全商品(レコード、CD)の品番の一覧をネットで公開していればそこから発見できないわけはありません。しかし、レコード会社(CD会社)がそんなリストを一般にネットで公開しているのを見たことはありません。それさえあれば、何も問題なく、すぐに発見できるはずなのに。
レコードやCDを作っている(作っていた)会社は、自分たちの仕事の記録をネット上に残そうという気持ちがないのでしょうか? 強く疑問を感じます。リストがすでにあるのならそれを、ない場合には、これからそういうリストを作成してそれを、ネットで公開していただきたいものです。消滅しているレコード会社のレコード・CDについては、その会社の権利や資料を引き継いでいる会社にお願いしたいところです。
そういうリストがいかに有用かは明らかで、求めている人も数多いのではないかと思います。
どうぞよろしくお願いします。
なお、ついでですが、「134枚のみプレス」と説明書きのある「134号ストーリー/SARA!」(PRT-1382)というプロモオンリーの7インチシングル(EP)(1989年)の画像を発見しました。不思議なものがあるものですね。一番上に
134号エリア・ユース・オンリー
スーパー・リミテッド
プロモーション・シングル
とありますので、国道134号エリア(横須賀、三浦半島、湘南、大磯あたりか?)だけで配布したものかもしれません。
https://aucfree.com/items/h436682430
なお、この例から推測すると、実は、「SARA!」のEPはプロモーション用だけだったという、「大どんでん返し」の可能性も残ります。この可能性を否定するだけの材料もない、というのも現時点での事実です。それというのも、結局は、前述のように、会社・レーベルごとの「レコード・CDリスト」が公表されていないため、確認ができないということが原因です。1989年と言えば、EPとCDSの過渡期で、このようなことがあったとしても、おかしくない時期だったとも言えます。
ご存じのとおり、今年に入って、『ひとかけらの夏』のSACDが発売されましたが、これは、ワーナー・ミュージックからでした。過去の『ひとかけらの夏』を見てみると、2006年盤もワーナーだったのですが、2012年盤はFLY HIGH RECORDSからでした。
これはいったいどういう権利関係になっているのでしょうか?
一旦、FLY HIGH RECORDSに移転したが、また戻ったということでしょうか?
以前にもご紹介しましたが、そもそも、FLY HIGH RECORDSの2012年盤では、品番が3つもある。
VSCD-1735、WQCQ-347、FRCD-018
1つ目はヴィヴィド・サウンド、
2つ目はワーナー、
3つ目がフライ・ハイ・レコーズですね。
ということは、ワーナーのままなんでしょうか?
でも、ワーナーのページでは、2012年盤は紹介されていない。
https://wmg.jp/murata-kazuhito/discography/
ヴィヴィド・サウンドのページには、2012年盤はあります。
フライ・ハイ・レコーズのページは見つかりませんでした。(「はてなブログ」は見つかりましたが、CDが一覧できるようなページは見つかりませんでした。)
以前も同じこと調べてませんでしたか?
レコードやCDなど、音楽の権利関係は複雑で未だによくわかりません。