No.1255にて書きました、パイパー(Piper, PIPER)のベスト盤『パイパー・クール・セレクション』について、すでにこのアルバムは5月31日に発売されています。タワーレコードの紹介ページで各収録曲の「試聴」が可能になっていましたので、由来不明であった収録曲「Moonlight Beach (edit version)」を聴いてみました。
すると、当方が勝手に推測していた5枚目のアルバム『LOVERS LOGIC』(1985年。2019年の再発盤)のボーナス・トラックとして収録されている「12. あなたのとりこ (エディット・ヴァージョン)」とは違う作品でした。
また、No. 1255では見落としていましたが、2枚目のアルバム『Summer Breeze』(1983年)の最後の曲が実は「Moonlight Beach」という曲でした。ところが、同じ曲のようですが、編曲が全く異なります。しかも、このベスト盤の「Moonlight Beach (edit version)」の演奏時間が「00:01:06」と非常に短い。通常の曲としてはありえない短さです。
ということで、「Moonlight Beach (edit version)」という曲は、やはりオリジナルアルバムやシングルから取られた曲ではなく、このベスト盤が初収録という、実質的なボーナストラック、ということではないでしょうか?
それにしても、いったい、この曲はどこから現れてきたのでしょうか? 推測すらできません。CDの歌詞カードには、何か説明が記載されているのかもしれません。実物を手にしない限りわからないのでしょうか? 何度も書いて申し訳ありませんが、世の中には本当に情報がないものですね。
「シティ・ポップに愛をこめて 名曲・名盤ルーツ探訪の旅(1213)」と「続・シティ・ポップに愛をこめて(1214)」で既出ですが、村田作品が洋楽に多大なる影響を受けていることは周知の事実です。デビューするまでは邦楽なんて全然聴いておられなかったようですので、当然と言えば当然なのでしょう。
しかし、個別の作品ということではなく、村田作品全般への洋楽の影響について深く掘り下げて紹介している文章というのは、見たことがありません。どこかにあれば、それを教えていただきたいところですが、なければ、どなたか、書いていただけないものでしょうか。ビートルズから始まってどこまで内容が広がるのか?(すでに書いたように、当方は洋楽についてはほとんど知らないのではありますが)
「村田本」に含まれる1つの項目としても、期待いたします。
前回、杉真理さんの「自伝」をご紹介しましたが、他方、「村田本」は未だ刊行せず、という現状です。
この状況で、当方が焦ってもまったく仕方ないのですが、関係者の皆さんの記憶が次第に薄れていってしまっているだろうなと思うと、それが未だ記録として残っていない、という点が心配です。
そういうものだといえば、確かにそうなのでしょうが、そうではないという選択肢もあるはずだと信じたいというのが今の気持ちです。
次の本が刊行されています。
魔法を信じるかい ミスターメロディ・杉真理の全軌跡
杉真理/佐々木美夏
DU BOOKS
2023/05?発売
価格 ¥2,750(本体¥2,500)
目次
カラー口絵
第1章 Boy's Life きかん坊のラジオ少年、ビートルズと出会う
第2章 僕らの日々 サークルと麻雀と留年と
第3章 I Write a Song 華々しくデビュー!のはずが
第4章 A面で恋をして ナイアガラトライアングルという名の幸運
第5章 懐かしき80’s 上昇気流をつかまえて
第6章 いとしのテラ 20代から30代へのプレゼント
第7章 レディオ我々 二巡目が始まり、松尾清憲と出会う
第8章 Band on the Run BOXの結成、初めて渡ったアビー・ロード
第9章 God Only Knows ウイスキーの、おかげでしょ?
第10章 愛こそはすべて バリ島が教えてくれた
第11章 世界の中心 いろいろな「始まり」と世紀末
第12章 Oh, Pretty Woman コント職人誕生、そしてオノ・ヨーコが叫ぶ
第13章 So Long Dad 父親の死、魔法の領域で起こったこと
第14章 最高の法則 ラジオスターの喜劇
第15章 An Old Fashioned Love Song チャレンジが続き、コロナがやって来た
第16章 君といた夏 須藤薫。大瀧詠一。村田和人。HABU。
第17章 魔法を信じるかい 奇跡はいつでもすぐそこに
活動年表
そもそも面白そうな本ですが、目次に村田さんのお名前も見えます。何が書かれているのか、実物を見ることができたら、またご報告します。
それにしても、村田さんにもこういう本があったらなあ。
次の本が刊行されています。
シティ・ポップとラジカセ
70~80年代のカセットテープ・カルチャーを振り返る
編著 開発社
徳間書店
第1刷 2023年3月31日
本体2000円+税
カセットテープに絡めた「シティポップ」本で、カセットテープそのものに関してはNo.1246に書きましたように個人的にはほとんどネガティブなのですが、稲垣潤一、杉真理、鈴木茂、伊藤銀次、EPOの5人のインタビューもありますので、あえてご紹介します。
そして、次の記事(20枚のアルバムを取り上げている)の中に村田さんのアルバムも含まれています。
○シティ・ポップ名盤選(馬飼野元宏)(p38~p44)
以下、p44の原文です。
ひとかけらの夏
村田和人|1983年/アルファ・ムーン
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夏のけだるい空気を
パッケージングした傑作集
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サマー・ポップスの名手・村田和人の2作目で、アレ
ンジとプロデュースに山下達郎が全面参加。「一本の
音楽」や、まりや&達郎作の「ニコニコ・ワイン」な
ど、バラエティーに富んだ楽曲と、パーフェクトな完
成度を誇るサウンドが一体化した夏の大名盤。
引用は以上で終了。
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山下達郎への言及は当然としても、わざわざ「ニコニコ・ワイン」を取り上げて竹内まりやに言及する必要はないでしょう。作詞に言及するなら、安藤芳彦さんが参加していますので、むしろこちらでしょう。やはり、山下・竹内夫妻の役割を強くとらえすぎる傾向が見えます。あとは、「コーラス」に触れてほしかったところです。
なお、カセットテープには、当時、次のような種類があって、この本にはその説明もあり、すごく懐かしく感じました。
TYPE I:ノーマル
TYPE II:クロム(ハイ・ポジション)
TYPE III:フェリクロム
TYPE IV:メタル