No.1082で、生意気にも「またの機会があれば何かは書きたいと思います。」とした松下誠さんですが、ふと気づいたら、3枚のアルバムがボーナストラック入りで再発され(2019年)、新曲入りのベスト盤も出るということになっていました。
FIRST LIGHT (+1)(1981年)
THE PRESSURES AND THE PLEASURES (+4)(1982年)
QUIET SKIES (+3)(1983年)
2枚目のボーナスの後ろ3曲と3枚目のボーナス3曲は、当時4作目として作成されながら未発表作品となってしまった『Music For Meditation』というアルバムを『Visions』と改題して全曲6曲を2枚に分けて収録したとのことです。
そして、ベスト盤は次のとおり。
COLLECTION(2020年3月25日)
ベスト盤ではありますが未発表曲を3曲収録、だそうです。収録曲目は、以下のとおり。
1. |
FIRST LIGHT |
2. |
Carnaval |
3. |
Lazy Night |
4. |
Business Man (2020 NEW MIX) |
5. |
This Is All I Have For You |
6. |
Remembering (Unrelease Track) |
7. |
LUCKY GUY |
8. |
Morning Blue |
9. |
Love was Really Gone |
10. |
How Insensitive (Unrelease Track) |
11. |
September Rain |
12. |
Chaos & Harmony (Unrelease Track) |
13. |
Once You Could See The Light (Unrelease Track) |
驚きましたが、再評価著しいということでしょう。
少し前のはなしですが、次の雑誌の次の号が出ています。
Guitar magazine (ギターマガジン)2020年1月号(リットーミュージック)
表紙を見ると、以下のとおり。
'80s city pop
シティ・ポップを彩った、カッティング・ギターの名手たち ~真夜中のファンキー・キラー編~
角松敏生/松下誠/芳野藤丸/土方隆行/鳥山雄司/山下達郎/松原正樹
この号は、同誌2019年4月号の特集『シティ・ポップを彩った、カッティング・ギターの名手たち 昼下がりのメロウ・グルーヴ編』(松原正樹、松木恒秀、村松邦男、鈴木茂、山下達郎、要するに「1970年代篇」)の続篇です。
はは~、この「山下達郎」の部分で、村田さんの作品も紹介されているんだな、と予想したあなた、間違ってはいませんが、それだけではありません。
油断せずに、中の「特集」の扉見開き(38ページから39ページ)をきちんと見ますと、記載されているギタリストの名前は、表紙よりも2人追加されていて、以下のとおり。
角松敏生
土方隆行
松下誠
芳野藤丸
鳥山雄司
山下達郎
椎名和夫
松原正樹
山本圭右
ええっ、山本圭右さん?(掲載は、132ページと133ページ)
他のギタリストと比べると、そのギタリストとしての力量がどうとかいうことではなく、やはり「スタジオ・ミュージシャン」としての実績がほとんどない(他のアーティストのレコーディングに参加しているケースがほとんどない)という違いが目立ちます。実例として取り上げられているアルバムも、ご自身が率いたバンドであるパイパーの4枚(2枚目~5枚目)と村田さんの2枚(『My Crew』と『Boy's Life』)のみです。
ただ、その点はそれとして、パイパーのアルバムが4枚取り上げられているということですので、貴重な資料です。パイパーファンの方は、ぜひご覧ください。
なお、山下さんのページ121ページで、『また明日』も挙げられていますので、この特集全体で村田さんのアルバムは3枚も紹介されているということになります。
なお、パイパーについては、先にご紹介した『ディスク・コレクション ジャパニーズ・シティ・ポップ 増補改訂版』でも、アルバム4枚(164ページ。やはり2枚目~5枚目)+シングル1曲(228ページ)が紹介されていますので、書店等でご覧ください。
No.1088でご紹介した村田さんの新しいベスト盤のジャケットです。
また、巻末の「JAPANESE CITY POP MASTERPIECES 100」の中に次の3曲が選ばれています。
・あの波をつかまえて/from Al『My Crew』(1984年)
・So Long Mrs./from Al『ひとかけらの夏』(1983年)
・LADY SEPTEMBER/from Al『また明日』(1982年)
3曲とも「作詞:安藤芳彦/作曲:村田和人/編曲:山下達郎」です。
なるほど、確かに「あの波をつかまえて」もいい作品だな、と改めて思いました。
この「JAPANESE CITY POP MASTERPIECES 100」の企画は、2006年の『クロニクル・シリーズ ジャパニーズ・シティ・ポップ』のほうにもともとあった企画で(ただし、100作品までは多くなかったと思います)、村田さんの3曲については同じ作品のままでした。
それから、この本には、「Featuring Artists」というページがあり、村田さんも含めて以下の15アーティストが掲載されています。
はっぴいえんど
大滝詠一
細野晴臣
鈴木茂
ティン・パン・アレー
松任谷由実(荒井由実)
吉田美奈子
南佳孝
山下達郎
大貫妙子
竹内まりや
杉真理
村田和人
安部恭弘
角松敏生
最後に、「あとがき」は、次のように締めくくられています。
『・・・その後、鬼籍に入った方々もいらっしゃいます。
大瀧詠一さん(1948.7.28.‐2013.12.30.)、-加藤和彦さん(1947.3.21.‐2009.10.16.)、佐藤博さん(1947.6.3.‐2012.10.26.)、須藤薫さん(1954.5.1.‐2013.3.3.)、松原みきさん(1959.11.28.‐2004.10.7.)、村田和人さん(1954.1.2.-2016.2.22.)[五十音順]
本書を、彼らと、その素晴らしい音楽に捧げます。』
次の本が刊行されました。
ディスク・コレクション
ジャパニーズ・シティ・ポップ
増補改訂版
監修/木村ユタカ
執筆/木村ユタカ(木)、藤沢隆行(藤)、森勉(森)、除川哲朗(除)
シンコーミュージック・エンタテイメント
2020年2月1日
本体2400円+税
シティ・ポップ(ス)関連で、木村ユタカさんの過去の書籍は以下のとおり。
『ディスク・ガイド・シリーズ ジャパニーズ・シティ・ポップ』(2002年)
『クロニクル・シリーズ ジャパニーズ・シティ・ポップ』(2006年)
『ディスク・コレクション ジャパニーズ・シティ・ポップ』(2011年)
このうち、2002年のものを改訂した2011年のもののさらに増補改訂版が、今回のものに該当するようです。(すなわち、2006年盤は別系統)
今回、村田和人の紹介はp.67~p.71の5ページ(執筆はすべて、木村ユタカ)。改定前の前作(2011年)では4ページだったので、1ページ増えましたね。また、とうとう、前作、前々作では抜けていた1988年の『GoPop』と1989年の『太陽の季節』も含まれましたので、大したものです。
具体的な掲載状況を記載しますと、最初の1/2ページの総論の後、取り上げられているアルバムは以下のとおり。
また明日(MOON:1982年)(1/2ページ)
ひとかけらの夏(MOON:1983年)(1/2ページ)
My Crew(MOON:1984年)(1/4ページ)
Showdown(MOON:1986年)(1/4ページ)
Boy's Life(MOON:1987年)(1/2ページ)
Go Pop(EASTWOLD:1988年)(1/4ページ)
太陽の季節(EASTWOLD:1989年)(1/4ページ)
空を泳ぐ日(EASTWOLD:1990年)(1/4ページ)
Hollo Again(ビクター:1993年)(1/2ページ)
Evergreen(ビクター:1994年)(1/4ページ)
Sweet Vibration(ビクター:1995年)(1/2ページ)
ずーーっと、夏。(ナユタウエィヴ:2009年)(1/4ページ)
その他の主要な作品(1/4ページ):タイトルのみ
#01 『Real Collection 1982~1984』(1990年)
#02 『Real Collection 1984~1987』』(1990年)
#03 21 ‐TWENTY-ONE-(村田和人、斎藤誠、重実徹、山根栄子)『Greeting』(1991年)
#04 V.A.(BOX、かの香織、伊豆田洋之、村田和人、高野寛、松尾清憲etc.)『Winter Gift Pops』(1997年)
#05 A,M,S&I(安部泰宏、村田和人、鈴木雄大、伊豆田洋之)『奇跡はここにあるのさ』(1999年)
#06 『Now Recording+』(2008年)
#07 ALOHA BROTHERS(杉真理&村田和人)『世界のアロハ・ブラザーズ』(2010年)
#08 『ずーーっとずっと、夏。』(2010年)
#09 『ずーーっとずっと、ずっと夏。』(2012年)
#10 『Treasures In The Box』(2013年)
#11 『P‐Can』(2014年)
#12 『雨の日には』(2017年)
#13 村田和人&His Friends『De P‐Can』(2018年)
(#04, #06, #07, #08, #10, #13はジャケット写真あり)
ほとんどの作品が紹介されていると言ってもいいですね。