村田さんの作品で具体的に探しているものがあるわけではないので、ある種の「遊び」なのですが、ヤフオクで「村田和人」を検索してみると、かなりヒットします。250件ほどで、その中には、村田さんご本人の作品ではないものも含まれていたりしますが、それにしても驚く数です。
それだけ、村田作品が世の中に出回っているのだと思います。
他方、Amazonやペットサウンズレコードなど、「新品」の入手可能性は次第に限られてきているように感じます。
購入したいアルバムなどがあるかたは、まだ見つかる今が大切ですから、急ぎましょう。
今回『ひとかけらの夏』が再発されましたが、これで「一本の音楽」は何種類あることになったのでしょうか?
Spotifyで見てみると
2002Remaster(ベスト:Complete EP Collection ~Moon Years~)
2006Remaster
2012Remaster
2020Remaster(ベスト:一本の音楽~Moon Years~)
2022Remaster
と最低5種類あります。
Spotifyでは配信されていませんが、2006年盤より前にCD化されている1985年盤(32XM7)と1994年盤(AMCM-5008)も併せれば、7種類となります。
村田さんの他のベスト盤にも収録されていますね。おおもとのレコード『ひとかけらの夏』に収録されたバージョンもあります。
さらに、多くのアーティストの作品を集めたコンピレーションアルバムにも収録されているものが間違いなくあるでしょう。
これだけあると、どの「一本の音楽」がどの「一本の音楽」なのか、さっぱり聴き分けられないと思います。少なくとも当方は、です。
例えば、FMで流すことがあっても、どのアルバムからの作品なのかは、通常紹介しないと思います。
となると、もはや、これだけたくさんの種類があることには、あまり意味がないということになりませんか?
別に、制作しておられる側を揶揄しているのではなく、聴いている当方の側の混乱した気持ちを示しているだけですので、お気にせずに。
今さらですが、Wikipediaを見ていましたら、山下達郎さんのシングル「風の回廊」(1985年)のB面に収録されている「潮騒 (LIVE VERSION)」に、村田さんのクレジットがありました。具体的には、以下のとおり。
潮騒 (LIVE VERSION)
作詞:吉田美奈子、作曲・編曲:山下達郎
('84.1.6 大阪フェスティバルホールにて収録)山下達郎: Lead Vocal & Electric Piano
青山純 : Drums
伊藤広規 : Synth Bass
椎名和夫 : Electric Guitar
野力奏一 : Acoustic Piano
中村哲 : Synthesizers
佐野公美 : Background Vocal
森真帆 : Background Vocal
村田和人 : Background Vocal
この曲は、アルバム『RARITIES』に「ニュー・リミックス」で収録されているので聴いてみましたが、う~ん、やはり村田さんの声はよくわかりませんでした。
村田さんご本人も、2003年のオムニバス盤『CITY POP〜WARNER MUSIC JAPAN edition』で、「村田和人 with 安部恭弘&木戸やすひろ」名義で「潮騒 (The Whispering Sea)」をカバーしておられるので、お気に入りの1曲だったということなのではないかと思います。それも、このようにLIVE参加のご経験から来ているのかもしれません。
最近、『ナイアガラ・トライアングルVol.2』(オリジナルは1982年3月21日発表)の40周年盤が発売されて話題になっていて、雑誌の特集なども出されています。すでに、何種類かこのアルバムを持っている者としては、さすがにもういらないという感じですが、特に初めてのかたにとっては、入手するいい機会ですね。まさにこの「40th Anniversary Edition」はSpotifyでも聴くことができます。(今回の発売を機に、『ナイアガラ・トライアングルVol.2』は初めて配信された。)
同じ1982年に村田さんがデビューしていますので(「電話しても」(1982年4月21日)、『また明日』(1982年6月21日)。だから『ひとかけらの夏』のSACDが今年出されているわけです)、偶然ではありますが、大瀧・山下のお二人は、ほぼ同時期に並行してレコーディングしていたということになるのでしょうか。面白いことです。
何か、この2つのレコーディングの間で、接点というか連絡みたいなものはなかったのでしょうか? 興味がありますね。例えば、村田さんは『ナイアガラ・トライアングルVol.2』を事前に知っておられたのか、知っていたとしてどの程度か、とか。まさか、そのメンバーの1人杉真理さんとのちにユニットを組むとは思ってはいなかったでしょうけれども。
なお、山下達郎さんは、『ナイアガラ・トライアングルVol.2』には、「OHTAKI's Side」ですら、まったく参加していません。
話はそれますが、『ナイアガラ・トライアングルVol.2』で佐野元春、杉真理を選んだ大瀧詠一さんは、2人ともすでに上り調子であったとはいえ、また2人とも大瀧さんと同じソニー系のレコード会社所属だったという幸運な偶然はあったとしても、これだけの才能を選びだしたという非常な慧眼を持っていたと思います。とはいえ、その慧眼がより驚異的に発揮されたのは、むしろ『Vol.1』なんでしょうね。
次の本が刊行されています。
Japanese City Pop 100(ジャパニーズ・シティ・ポップ 100)
Night Tempo
303 BOOKS
2022年
もともとの1980年代の「シティ・ポップス」からは大きく範囲を変えているという点でも賛否両論のある本のようですが、この本でも村田さんの作品が取り上げられています。次の曲です。
「BE WITH YOU」(『また明日』収録)
この本は、前にご紹介した『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる(栗本斉)』の1人1アルバムとは異なり、1人1曲のセレクションです。
井上鑑さんの編曲の作品(作詞はおなじみの安藤芳彦さんです)で、「1曲」という意味では、個人的には異論はありますが、それでもいい作品には間違いありません。
似たような本が繰り返し刊行されている感じはしますが、どの本にも必ず何らかの形で村田さんが触れられているように思います。
村田和人とその作品が確実に歴史に残っていること、何度も実感します。
何度も書いていますが、このような本の刊行が、今まで聴いたことのなかったかたが村田作品を聴いてみようという気持ちになることにつながってくれるのを、強く願っています。
なお、この本で取り上げられている作品の配列ですが、なぜか、アーティスト名のファーストネームのABC順です。