前回ご紹介した、The Pen Friend Club(ザ・ペンフレンドクラブ)による「一本の音楽」のカバーですが、なぜ、今回、数ある村田作品の中からこの「一本の音楽」が選ばれたのでしょうか? 当方には、少なからず疑問がありますので、少し考えてみましょう。
まず、なにはともあれ、いい曲だから、というのがありえます。
しかし、個人的には、いい曲であることは全く否定しませんが(杉真理的な言い方をすれば、「はじめからCM曲として作られたのにもかかわらずいい作品である」)、村田作品として「1曲」だけ選ぶとしたら、自分なら「一本の音楽」は選びません。個人的には、例えば、同時期の1~3枚目のアルバムで考えると、それぞれ、「Lady September」「So Long Mrs.」「GIMME RAIN」となります。ただ、若いメンバーの皆さんにとっては、少し感じ方が違うのかもしれません。
次に、この作品を、メンバーみんなが気に入った、ということもありえます。
これは否定できないですね。皆さんが気に入ったと言っているんだったら、「それはおかしい」などと他人がいえませんから。ただ、ほかに気に入った村田作品はなかったのか? また、おそらくリーダーの平川氏が、この作品を提案して、みんなに聞いてもらったということではないかと思いますが、その部分で、何故この「一本の音楽」を提案したのだろうか、という疑問は残ります。たぶん、平川氏は、村田さんの作品をいろいろと聞いておられるのではないかと思いますので、他の作品になる可能性もあったのではないでしょうか。それとも、平川氏の提案を待つまでもなく、メンバーは「一本の音楽」くらい知っていた?
最後に、(スマッシュ)ヒット曲、有名曲だったから、というのもありえます。
しかし、このグループが自分たちの音楽を聞く人々として想定しているターゲットは、若い人々ではないでしょうか? とすると、1983年に出された「一本の音楽」なんて知らない、それどころか、村田和人する知らない(!)という人たちがほとんどではないでしょうか。とすると、ヒット曲、有名曲であっても、そういうファンには全くアピールしないことになります。そもそも「一本」って、何なの? という反応が返ってきそうです。カセットテープを知らない、使ったことがない世代ですね。ですから、村田作品の中から、わざわざヒット曲を選ぶ必要はない。
それとも、当方のような、当時を知っている人間をリスナーとして獲得しようとターゲットを考えた、ということでしょうか? う~ん? わざわざそんなことをするでしょうか? 必要性ありますか?
ということで、あまり建設的ではない検討だったようにも思いますが、どうやら、とにかく「メンバーみんなが気に入った」というのが理由ではないかと思われる、というのが本日の推測です。
なお、このカバー曲、前奏が原曲に沿って作られているけれど、もちろん大きく感じが違いますので、前奏を聞くとカラオケ店のカラオケかな、とつい思ってしまいます。