以前からご紹介しているように、2006年に販売された、村田さんの「ALFA MOON - MOON」時代の5枚のアルバム、その2枚目から5枚目にカラオケが多く収録されていて、2012年の再発では、これはすっかりなくなり、ライブ音源になっています。
以前から不思議に思っていたのですが、これらのカラオケは、どういう基準で残されていたのでしょうか? カラオケが存在するということは、わざわざ、ボーカルを入れなかったマスターテープを残した、ということでしょう。なぜ、これらの曲が選ばれたのか?
以前、山下達郎さんのアルバムのセルフライナーか何かで読んだ記憶があるのですが、マスターテープはコストがかかる(要するに高い)ので、最終のマスターテープは保存しているものの(紛失してしまっているケースもあるようです?)、その1つ前、ボーカルの入っていないカラオケの状態のマスターテープは通常はもう残しておく必要はないので、そのあとの別の録音に使いまわしされて残っていない、というようなことでした(アーティスト本人が仮に残したくてもレコード会社の意向(コスト節約)で残せない)。他方、大瀧詠一さんのようなかたは、カラオケを残すことにこだわっておられるから、ナイアガラトライアングルVol.2の2011年の「30th Edition (2CD:SRCL 8002-3)」などは、全曲カラオケのDisc 2があるような状態です(しかも、「A面で恋をして」はコーラスの有り無しの2曲もカラオケがある)。
こう考えると、村田さんのケースは、いかにも中途半端です。再発4枚全13曲のカラオケが存在するわけですが、以下の通り、一般にカラオケを残そうと考えそうなシングル作品ばかりではありません(半分はシングル曲ではない)。一見、何を基準にこれらの曲について、あえてカラオケを残しているのかがよくわからないように思います。
ひとかけらの夏
14. 一本の音楽(カラオケ)(ボーナス・トラック)→シングル曲ではあるものの、シングルヴァージョンかどうか記載なし
15. Catching The Sun(カラオケ)(ボーナス・トラック)→シングル曲ではあるものの、シングルヴァージョンかどうか記載なし
MY CREW
17. WEEKEND LOVE(カラオケ)(ボーナス・トラック)→シングル
18. SEXY PACIFIC(カラオケ)(ボーナス・トラック)→シングルではない
19. SUMMER VACATION(カラオケ)(ボーナス・トラック) →シングルではない(現在では、竹内まりやがデュエットで参加しているからか、それなりに有名な作品だが、当時から有名になることを推測していたとは考えにくい)
Showdown
15. JUST A LITTLE LOVE(カラオケ) (ボーナス・トラック) →シングルではない
16. ORLEANS ~想い出のオーリアンズ~(カラオケ) (ボーナス・トラック) →シングルではない
17. LOVE YOU FOR THE NIGHT ~25時のアベニュー~(カラオケ) (ボーナス・トラック) →シングルではない
18. SEE YOU AGAIN(カラオケ) (ボーナス・トラック) →シングルのc/w
Boy's Life
14. Boy's Life(カラオケ) (ボーナス・トラック) →シングルではない、ただアルバムのタイトル曲ではある
15. Stay The Young(カラオケ) (ボーナス・トラック) →シングル
16. 湾岸ウィング(カラオケ) (ボーナス・トラック)→シングル
17. Love Is a Mystery(カラオケ) (ボーナス・トラック) →シングルではない
逆にシングルごとに見てみると
1.電話しても⇒カラオケなし
(C/W) 波まかせ風まかせ⇒カラオケなし
2.Catching The Sun⇒カラオケあるが、シングルヴァージョンかどうか不明
(C/W) LADY SEPTEMBER⇒カラオケなし
3.一本の音楽⇒カラオケあるが、シングルヴァージョンかどうか不明
(C/W) WHISKY BOY⇒カラオケなし
4.WEEKEND LOVE⇒カラオケあり
(C/W) UP TO LOVE⇒カラオケなし
5.SHOW MUST GO ON⇒カラオケなし
(C/W) Dance With Me⇒カラオケなし
6.25時のアベニュー⇒カラオケなし
(C/W) SEE YOU AGAIN⇒カラオケあり
7.湾岸ウィング⇒カラオケあり
(C/W) In The Southern Sky⇒カラオケなし
8.Stay The Young⇒カラオケあり
(C/W) Morning Slelction (Honey & Bee Boys) ⇒2006年盤の村田ソロアルバムにはカラオケないが、2019年発売のHoney & B-Boys『Back to Frisco+10』にはカラオケが収録されている(なお、『Back to Frisco+10』については、ちゃんと聴いた後に、何かを書いてみたいと思っています)
以上16曲中、「カラオケあり」は6曲(Morning Selection除く)、「A面」だけだと、8曲中カラオケ5曲。なお、シングルのカラオケで唯一c/wなのは「SEE YOU AGAIN」で、その「A面」側の「25時のアベニュー」はカラオケはありません。
どうも、一貫した方針があったようには思えません。
で、嫌な予感がしますのは、これらのカラオケをあえて残していたのではなく、たまたま残っていた、これだけが見つかった、または、他にも見つかったが、発表する音源として使えなかった、などということはないでしょうか?
事実がどうだったのか、これ以上はちょっともうわかりませんね。
最後に、最近は便利なもので、これらのカラオケは、ネットで「試聴」(一部のみ、たいてい最初の部分のみ)というのができますが、実際に聴いてみると、「Boy's Life」だけですが、冒頭に、オリジナルにはない、スティック音、ギター、掛け声が入っています。ご関心のある方は、試聴をお試しあれ。
カラオケなどというものは原曲のボーカルを取ったものでしかない、などと思い込んでいると足をすくわれるかもしれない、ということで、カラオケだからといってあなどってはいけませんね。