村田さんの声は太いほうですか?
おそらく、多くのかたが、イエスとお答えになるでしょう。
逆に師匠筋の山下達郎さんは細い声だと言えるでしょう。
山下さんが村田さんを評価した一つの点は、この太めの声にあると思います。
こう書いては何ですが、山下さんは、ご自分の細い声にコンプレックスのようなものがあったのでしょう。それを補うためもあって、自分の作品では、ぶ厚いコーラスを駆使し、また、声の太い人を積極的にプロデュースしようとした、という状況があるのではないかと思います。
例えば、村田さん以外でも、山下さんが、フランク永井の1982年の「WOMAN」をプロデュースしたというのも、この流れから考えると、非常にわかりやすいと思います。
また、山下さんが、かつて梶原秀剛(かじわら・しゅうごう)のことを高く評価していると何かで読んだ記憶がありますが、それもこの流れになるでしょう。そもそも、奥さんの竹内まりやも、女性にしては声が太い(というか低い)ですね。
さて、ずいぶんわき道にそれましたが、村田さんに戻って。
村田さんの声が太いんだと、実は当方は当初あまり感じておらず、。その理由は、声が低くなかった、ということになります。声が太い=声が低い、とまでは言えませんが、そういう印象が強かったのです。
村田さんの場合には、ハイトーンのボーカルやコーラスがむしろ通常で、低音のボーカルというのは、あまり思い浮かびません。
なお、夏の音楽というかエコーの効いた音楽には、むしろ、山下さんのような細めの声の方が合致しているように思います。例えば、角松敏生、岩﨑元是、川村康一など、いずれも細めのように思います。ただ、逆に、村田さんのボーカル・コーラスにも違和感はないので、太めの声が夏やエコーに合わない、ということもないと考えています。