前回の投稿後、たまたま調べたところ、『パイパー・クール・セレクション』が配信されている(サブスクに含まれている)ことがわかりました。
なぜかAmazonでは販売されていないのですが、Mora、LINE、Spotify、タワーレコードミュージックなどで発見できました。
ただ、以前からは配信・サブスクの大きな問題点として指摘している通り、配信・サブスクでは、基本的な情報(作詞・作曲・編曲など)も含めて、その作品に関するほとんど何の情報も提供されないので、配信・サブスクにより、「Moonlight Beach [edit]」とはどういう由来の作品なのか、ということはわかるはずもなく、全く期待はできません。
にもかかわらず、ここであえて、配信・サブスクをご紹介するのは、パイパーについて、今までは配信で聴くことができなかった多くの作品が(そういう状態である理由は全く不明で、全曲を配信していただきたいところですが、それは無理そうなので一部だけでもよしとしなければならないでしょう)、配信で聴くことができるようになったとご紹介したいという点とともに、新しい問題点を発見したからです。
配信・サブスクのCDに対するメリット・優位点は何でしょうか?
例えば、そもそも、いちいちCDを購入しなくてもいいこと、よってCDプレーヤーのような再生機器が不要であること、さらに、その点からしたがって、たくさんのCD買わざるを得ず、CDに埋もれるというようなことがなくても済む、求めている曲を探しやすい。CDであれば、1枚1枚かけかえないと、目指す曲を探せない、というケースもありうる。これは、大変です。まあ、レコードよりはましですが。
それとは異なる視点から、アルバム全体ではなく、個々の曲ごとに購入できる(したがって1曲ごとに聴くことができる)というメリットもあります。例えば、ある10曲入りアルバムが出たけれども、全曲を聴きたいわけではなく、そのうちの2曲だけを入手したい、という場合であっても、CDであれば、アルバム全体を購入せねばなりません。しかし、配信・サブスクの場合、その必要な2曲だけを手に入れるということが可能です。これは非常に大きなメリットです。費用も節約できます。
ところが、『パイパー・クール・セレクション』の場合、ボーナス・トラックである、次の曲だけが配信に含まれていません。
・Sunshine Kiz (live version) (1984.9.12 at LIVE INN) =Bonus Track=
以上でご紹介した、いずれの配信サービスでも、この19曲目は含まれていません。
ボーナストラックだけは配信せずに、
「ボーナストラックを聴きたいのならば、CDを買いなさい」
ということであれば(という意味にしか理解できませんが)、曲単位で購入可能である「配信」のメリット・価値がなくなる、といっていいすぎならば、半減するでしょう。
要するに、その1曲だけを購入してもらうのではなく、CD1枚全体を購入してもらう方が、レコード会社としては利益があるということなのでしょう。だから、CDを買う人を増やしたい。
短期的に見れば確かにそうなのかもしれませんが、やがてCDは品切れになる、そのときになって、ああ、配信に含めておけばよかった、と思うことになるのではないでしょうか。しかし、その時点で1曲だけ配信に追加するような面倒なことは、レコード会社は決してしないでしょう。そうして、聴くことができなくなる作品が増えていくのです。
そういう事態も想定して、最初からボーナストラックを外すようなことはせずに、もれなく配信しておいていただきたい。
結局CDを無理やり買わせようとするような(古い)「販売戦略」は、とにかくもうやめてほしいところです。望ましい姿は、CDが欲しい人はCDを買い、配信を望む人は配信で(曲ごとに)買う、そういう、聴く側に選択肢があるという状態です。