以前も書いたような気もしますが、村田さんの初期5枚のアルバムの2023年盤は、Spotifyで配信されないのでしょうか?
配信されたとしても、2006年盤や2012年盤との重複感が大きいでしょう。逆に配信されなくても、個人的には困りはしません。しかし、あえて2023年盤を聴きたいという人はおられるのではないでしょうか。
筋から考えれば、リマスターもしているんだから、配信くらいしてほしい、と思うところです。
Bridgeは、配信にはあまり積極的ではない会社なのでしょうか?
無料で配信できるわけじゃないんだから(配信を希望する会社側に手数料がかかるんだろうから)、配信しないという選択にも理由がある、という声も聞こえてきそうですが、一応、期待いたします。
よろしくお願いいたします。
つい先日、No.1352でご紹介したように、パイパー(Piper)の2nd, 3rd, 4thアルバムの全体が、Spotifyで配信されるようになっていたのですが、ふと再確認したら、前進するのではなく、PIPER(パイパー)のページの「ディスコグラフィー」からアルバム3枚の掲載がなくなり、No.1337でご紹介していたようにベスト盤『PIPER Cool Selection』に収録されている作品のみが配信されているという中途半端な状態に逆戻りしてしまいました。
悲報です。
今までも、他のアーティストのアルバムで、一旦配信されていた作品が削除されてしまったという経験をしたことはありましたが、パイパーでもか、とがっかりしています。
今回の、この理由は何なのか?
なお、No.1325もご参照ください。
なお、アルバムごとのページは一応は残っていますので、「覚え」としてURLを残しておきます。これらのページでは、配信されていない作品のタイトルは、「灰色がかったフォント」になっており、クリックしても反応しません。
SUMMER BREEZE(2nd, 1983年)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/614LGcMwiEpyQ5SVg6S5Im
GENTLE BREEZE(3rd, 1983年)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/6utZOyaQ1ZIOn0EvkAcrL1
SUNSHINE KIZ(4th, 1984年)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/2Xg5zDgcFroH7VZFIvnMKL
配信されるかされないかは、聴く側としては完全に受け身ですので、どうしようもないのですが、復活してほしいものです。ついでに、1stも一緒に追加していただきたい。
ちなみに、山本圭右さんのソロ楽曲も以前から配信されていませんが、今も配信されていません。『Shoot the Guitarist』も配信されていません。
遅ればせの報告ながら、2月22日の「すけべんこいた」ですが、無事に終了したようです。
https://x.com/20240222Kaz/status/1893671644696137923
なお、X(ツイッター)の最後に、「村田さん来ましたね。」とありますが、これはどういう意味ですかね???
村田さんの初期5枚については、2006年、2012年、2023年と「リマスター」されていますが、リマスターについては、No.1121(最新ベスト盤『一本の音楽』は「リマスター(リマスタリング)」)、リミックスについてはNo.1102(ベスト盤はリミックス?)にそれぞれ書いています。
この関係で2点だけ、当方の理解が進んだであろう点について。
マスター(マスターテープからあらたに原盤(販売するCDやレコードに「コピー」するための原盤)を制作する)の際に、ベスト版の場合、以前のベスト盤をその内容(選曲・曲順)のまま再発するのであれば、そのままの以前の「原盤」があるはずですから、それを使えばいいはずです(もちろん、以前の原盤に何か問題があるなどして(音質が悪い、デジタルでない、紛失した、破損したなど)使えない・使いたくない場合などは、新しい原盤を制作したらいい)。しかし、新しく選曲した、または新たに曲順を決めたベスト盤の場合、そのための「原盤」は存在しませんので、必然的に新しい原盤を制作する、要するにリマスターに自動的になってしまう、のではないかと理解しております。ゆえに、「リマスター」と明記されていなくても、新しいベスト盤はリマスターである、ということになりそうです。
他方、リミックスのほうですが、「ベスト盤」だからと言って、リミックスになるとは限らず、むしろリミックスする(あらためてミックスダウンをして新しいマスターテープを制作する)方が珍しいかもしれません。少なくともオリジナルアルバム(場合によってはシングル)のマスターテープがあるはずですから、そこから「ベスト盤」に収録する曲だけを取り出してマスタリングする(リマスタリングする、原盤を制作する)ことになります。リミックスがありうるとしたら、マスターテープが痛んだり劣化していたりする場合でしょう。その場合には、その痛んだり劣化したりしたマスターテープをもとに、新しいマスターテープを制作する(リミックスする)という可能性が出てくるわけです。
さらに、リミックスとリマスターの時間的順序ですが、原盤制作の場合には、当然にリミックス→リマスターの順になります。しかし、リミックスがクラブなどのDJがすることを意味する場合には、当然ですが、出来上がったレコードをもとにリミックスするわけですから、リマスター→リミックスの順になります。ようするに、リミックスの意味によって、時間的前後が逆転するということになります。
だんだんとわかってきたかな、というところです。しかし、まだ途上です。
1970年代半ばごろからの山下達郎の音楽の1つの大きな特徴は、同時代のニューミュージックの作品に比べ、ブラスやストリングスが強く入っているということかと思います。言い方を変えれば、同じとは言えませんが(少なくともブラスパートの「派手さ」は異なる)、バート・バカラック的なオーケストレーションを取り入れるということですね。
例えば、1980年のシングル「RIDE ON TIME」のクレジットは以下のとおりです(アルバム『RIDE ON TIME』のボーナストラックのクレジット)。
RIDE ON TIME(ライド・オン・タイム) (シングル・バージョン -Single Version-)
作詞・作曲。編曲:山下達郎
山下達郎 : Electric Guitar (Right), Kalimba, Percussion& Background Vocals
青山純 : Drums
伊藤広規 : Bass
椎名和夫 : Electric Guitar (Left)
難波弘之 : Keyboards
土岐英史 : Alto Sax Solo
吉田美奈子 : Background Vocals
数原晋 : Trumpet
岸義和 : Trumpet
向井滋春 : Trombone
粉川忠範 : Trombone
村岡建 : Tenor Sax
砂原俊三 : Baritone Sax
ブラス関係のうち、「土岐英史 : Alto Sax Solo」はいつも一緒にいるようなメンバーでもありますからともかくとして、それ以外にも6人(6本)もあるのですから、音が厚くなって当然です。他方、この曲(このアルバム)にはストリングスはありません。また、アルバム『RIDE ON TIME』の多くの曲にブラスが入っていますが、ストリングスは入っていません。
なお、山下達郎関係で顕著な参加が見られるストリングスは、多忠明さんの多(おおの)グループで、2枚目の『スペイシー』以降、(『RIDE ON TIME』を除いて)1983年の『メロディーズ』まで、それぞれ数曲での参加が確認できます。
さて、では、山下達郎がプロデュースした、村田さんの初期の作品には、ブラスやストリングスはありましたでしょうか?
まず、1982年の1枚目のアルバム『また明日』では次の1曲だけ(しかも、山下達郎ではなく井上鑑編曲)。
BE WITH YOU
作詞:安藤芳彦 作曲:村田和人 編曲:井上鑑
DS. 渡嘉敷祐一
B. 岡沢茂
KEY. 井上鑑
EG. 土方隆行・今剛
AG. 笛吹利明
PERC. 浜口茂外也
CHO. 山下達郎・難波弘之・椎名和夫・浜田金吾・松下誠・村田和人
HORN. JAKE. H. CONCEPTION・新井英治・数原晋
次に1983年雄2枚目のアルバム『ひとかけらの夏』の中では次の1曲だけ(しかも山下達郎ではなく、椎名和夫編曲)。
Catching The Sun
作詞・作曲・コーラス編曲/村田和人 編曲/椎名和夫
阿部 薫 – Drums
伊藤広規 – Bass
新川 博 – E.Piano, A.Piano, Synth
椎名和夫 – E.Guitar, A.Guitar, Percussion
岸 義和 – Trumpet
吉田憲司 – Trumpet
中沢忠孝 – Trombone
杉本勝行 – Trombone
村岡 健 – Clarinet
清水万紀夫 – A.Sax
鈴木重男 – A.Sax
三森一郎 – T.Sax
佐野博美 – T.Sax
砂原俊三 – B.Sax
国分友理恵 – Background Vocals
村田和人 – Background Vocals
非常に限定的であることがわかります。しかも、ストリングスはこの2曲ともにありません。
ちなみに、山下達郎プロデュースを離れた、3枚目、4枚目、5枚目では、サックスを除いて、全くブラスもストリングスも入っていません。
これは何を意味するのでしょうか?(つづく)