今回は、テーマが村田さんからずれますが、音楽的な共通性も考慮していただき、お許しください。
この場でも以前から何回かご紹介している川村康一さん、彼のニュー・アルバム『MAGICAL POP TRACKS』が2025年7月18日に発表されました。
2019年の『SUMMER BREEZE』というミニアルバムを入れれば、通算5枚ののアルバムになります。2019年の活動再開後からであればフルアルバム『MY PRIMARY COLORS』(2021年)に次いで3枚目です。
前のアルバム『MY PRIMARY COLORS』には、『SUMMER BREEZE』に収録されていた曲4曲も収録されていました。当方は、『SUMMER BREEZE』が発表された時点で『SUMMER BREEZE』をかなり聴いていたので、『MY PRIMARY COLORS』の中で、『SUMMER BREEZE』の作品だけが浮かび上がってしまい、『MY PRIMARY COLORS』全体に(曲順も含めて)なかなかなじめなかったという経験をしました。
今回は、そういうことがなかったので、十分に楽しめました。
以前にご紹介した、長江健次『URBAN EXPLORER』に提供した作品のセルフカバーも含まれていますが(以下の、3曲目、4曲目、5曲目、7曲目)、音楽的には別の曲なので、違和感はありませんでした。
ただ、コーラス好きの当方としては、もう少しコーラスを厚くしても良かったのかな、と思いました。川村康一さんならば、コーラスをいくらでも厚くすることは可能なので。
Spotifyでもお聴きになれますので、ぜひお試しください。
収録曲は以下のとおりですが、タワーレコードでは、発売日当初は作詞作曲編曲情報が全く掲載されていませんでした。少し待ってみたのですが、困ったことに未だに編曲家の情報が中途半端にしかわかりません(ただ、HMVやAmazonでは作詞作曲編曲情報は未だに全く掲載されていませんので、それに比べれば、はるかにましです)。わかっている情報のみを掲載します。不足した部分については、いつになるかわかりませんが、判明した時点で、追ってご紹介します。
全作品について作詞・作曲は川村康一のため、以下、編曲のみ掲載。
1.I Fell In Love With The Mermaid(編曲:草間信一)
2.She Comes Like A Breeze(編曲:不明)
3.La Vie En Rose(編曲:太田公一)
4.I'm In Your Love (永遠の誓い) (編曲:しみずまさはる)
5.Manipulate Me(編曲:不明)
6.好きにならなきゃ良かったのに Featuring Grace Mahya(編曲:根岸和寿)
7.Beyond To The Sky(編曲:不明)
8.Good-Bye, Bad days(編曲:不明)
9.想い出のキャペリン(編曲:川村康一)(YouTube情報)
10。コリタスの香る夏の日 (Bonus Track) (編曲:草間信一)
不明の部分は、タワーレコードに情報がない部分ですが、そうだとすると、CDそのものにも情報がない可能性もあります。とともに、それらの曲は、川村さんご本人の編曲という可能性もあります。編曲の情報は、いまだに非常に軽んじられている場合があります。なぜなのか、理解に苦しむところです。
さて、どこかでわかるようになるでしょうか?
といううちに、CDそのものを見ることができました。
予想していた通りに、やはり、タワーレコードの情報がない曲には、編曲の記載はありませんでした。しかし、その代わりにではないですが、次のような記載がありました。
Sound Advisor
Kenji "jino" Hino by 02, 05, 07, 08, 09
Koichi Ohta by 02, 05, 07, 08, 09
Masamitsu Urabe by 01
特に最初の2人は、上記で「不明」となっている曲+YouTubeで川村康一さんご本人の編曲となっている曲の合計5曲に、ぴったりと合っています。
これを、「編曲:川村康一」とするのが適切なのか、「編曲:川村康一、日野賢二、太田公一」と記載すべきなのかわかりませんね。結局、何も記載しないことが適切なのかもしれません。難しいことです。
他方、すでに、「編曲」という表記や、さらには、作曲と編曲との境界をあまり厳格に考えない方が、また、「編曲」と呼ぶことを重視しすぎない方がいいのかもしれません。
なお、未だに「しみずまさはる」さんの漢字はわからないままです。
世の中には情報が足りません。
先にご紹介した、「ニッポンの低音名人(1383)」ですが、この本の中で若い村田さんが写っている写真を発見しました。
伊藤広規さんのページの「写真で辿る伊藤広規 軌跡」の中のp228上部に掲載されている⑤の写真です。付されている説明は以下のとおりです。
「⑤1983年の"山下達郎MELODIES TOUR"の際の楽屋ショット。中心の山下達郎の右に伊藤が、山下のうしろには青山が。」
山下さんのうしろの列の端(写真の列でいうと右手の端、写真の中の左端)に村田さんが立っています。1983年といえば、山下さんのツアーに参加していてもおかしくない時期で、そのこととも合致しますね。
ざっと見た限りでは、村田さんはその中で言及されていないようなので申し訳ありませんが、次の本が刊行されています。
ニッポンの低音名人―日本ポップスの進化と、それを支えてきた名ベーシストたち
坂上 晃一
リットーミュージック
2025/06発売
価格 ¥3,300(本体¥3,000)
https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3124318001/
全775ページの分厚い本です。「低音」に似つかわしい厚さのように思います。
14人のベーシストを取り上げ、本人への取材をベースにした(洒落ではありません)記事に加え、各人ごとに「○○が影響を受けた作品」「○○の代表参加作品」「写真で辿る○○ 軌跡」「写真で辿る○○ 愛器」と充実した内容です。
人数が少ない、もう少し増やしてほしかった、というのは、言わないことにしましょう。私が好きな(日本を代表する)ベーシストが2人も入っていないではないか、それも言わないことにしましょう。さらに、ベーシストごとに、参加作品リストが欲しかった、ということも言わないことにしましょう。
それよりも、ちゃんとご紹介しておかないといけないのは、各ベーシストの項目の最後に存在する「証言」の部分です。ベーシストといえば、当然相方はドラマーですが、ドラマーに限らず、「盟友からの証言」「アレンジャーからの証言」「アーティスト(から)の証言」など、以下の目次をご覧いただければお分かりのとおり、日本の1970年代、80年代のポピュラー音楽の「歴史」全体を見渡せそうな、錚々たるメンバーが登場します。これは、当たり前の内容とも言えますが、「1人1冊」といった本であればともかく、多くの人をまとめて取り上げる本では、こういった「証言」的なものが実はあまりないのではないかと思います。見事です。
「証言」の部分も詳細に記載した目次を以下掲載します。それらのかたの名前をご覧いただければ、ベーシストの重要性も改めて認識でき、当方の興奮も伝わると思います。
目次
前書き:書籍化にあたって
01 岡沢章 あらゆるジャンルからお呼びがかかる、最高品質のリズム&センス
盟友からの証言:村上"ポンタ"秀一
アレンジャーからの証言:萩田光雄
02 富倉安生 強い感受性と、それを制御して得られる、低域の最大公約数
盟友からの証言:島村英二
アレンジャー友からの証言:瀬尾一三
03 小原礼 楽曲が求めるリズムを瞬時に嗅ぎ分ける、ミューズに魅入られたベースの申し子
盟友からの証言:林立夫
盟友からの証言:高橋幸宏
盟友(妻)からの証言:尾崎亜美
04 川上シゲ ロック魂を背負って、縦横無尽に駆け巡るフレーズと、その裏に潜む才能
盟友からの証言:こだま和文
盟友からの証言:エンリケ
盟友からの証言:武田"チャッピー"治
05 伊藤広規 すべての音を聴き分ける耳が、山下達郎と出会って起きた化学反応
盟友からの証言:新川博
アーティストからの証言:山下達郎
盟友からの証言:岡井大二
06 松原秀樹 才能と努力、謙虚さを貫いた先に辿り着いた自信と人徳
アレンジャーからの証言:鷺巣詩郎
盟友からの証言:長谷部徹
07 美久月千晴 楽曲に寄り添いながら、ビートを包み込み、存在感を示す温かな低音。内に秘めたロック・スピリットと幅広い対応力で、売れっ子ベーシストに
アレンンジャーからの証言:星勝
盟友からの証言:山木秀夫
08 高橋ゲタ夫 俺はヴォーカリストだからベースなんて片手間。と思っていたら、いつの間にやらグルーヴの権化となり、おかげで周囲は巻き込まれないわけにはいかなくなって…
盟友からの証言:カルロス菅野
盟友からの証言:橋田"ペッカー"正人
09 バカボン鈴木 ソリッドなビート感と、全ジャンルへの適応力を誇る、遅咲きの名人
盟友からの証言:サエキけんぞう
アレンジャーからの証言:笹路正徳
10 岡沢茂 ハプニング満載の男が紡ぐ安定感抜群の低音が、今日も音楽家たちを安心させる
アレンジャーからの証言:水谷公生
アーティストの証言:甲斐よしひろ
11 長岡“ミッチー”道夫 みんなが求める芯のある低音だから、どんなジャンルも任せて安心!
アレンジャーからの証言:大野雄二
盟友からの証言:芳野藤丸
12 渡辺直樹 ベースにとどまらない才能を持ちながら、スタジオでのプレイにこだわる、稀代のヴァーチュオーゾ
アレンジャーからの証言:船山基紀(目次の漢字は間違っています)
盟友からの証言:渡嘉敷祐一
13 六川正彦 広い音楽的間口を持ち、腰にくる低音を放つ生粋のビート職人
アーティストからの証言:大橋純子
盟友からの証言:野沢秀行
14 田中章弘 無骨な重低音とグルーヴィな推進力で、多くのアーティストを支えた土台作りの名人
アーティストからの証言:鈴木茂
アレンジャーからの証言:武部聡志
後書き
人名索引
なお、最後の「人名索引」の存在はすごい。この本の性格を物語る項目です。
このような本を、ベーシストだけではなく、ギタリストでもキーボディスト(ピアニスト)でもドラマー/パーカショニストでも、その他サックスやブラスの人々でも作っておくべきだ(だった)と思います。
当方の関心がスタジオミュージシャンに入っていったのは、作曲家、編曲家のあとで、やはり1980年代前半。そのころに、こういう本があったらよかったのに。そうしたら、この本と比較ができたのに。当時は、当方の期待とは裏腹に、編曲家ですらなかなか紹介されなかったのです。
それにしても、2025年の今になっても、このベースの本がやっと出たばかり。編曲家ですら、わずか数人の人を除けば、十分にその活動を記録した書籍の刊行はできていない。ましてやベース以外の楽器はどうするのか? ギタリストでもせいぜい雑誌の特集ぐらい。いったい音楽評論家の人々は、40年もの長期間、何をさぼってきたのだ、と怒鳴りたい。1970年代、1980年代を支えたミュージシャンで鬼籍に入ってしまった方が多くなりつつある中(我らが村田さんもそのおひとりです)、証言を得るのも、本を作るのも、もう間に合わないぞ、と悲鳴のような声が頭の中に出てきて、非常に気持ちが暗くなっています。
ぜひとも、同種の書籍の刊行が続くようにお願いしたいと思います。
PIPERの作品を改めていろいろと聴いていましたら、前奏ですが、「Hidin' In Your Shelter」(アルバム『Sunshine Kiz』4曲目)に村田さんと思われるコーラスがあることに気づきました。
Spotifyでも聴くことができますので、お試しください。
これは、さすがに村田さんが入っていますよね。
以前も書きましたが、他の人の作品のコ-ラスでは、村田さんは控えめになさっているのか、あまり「村田和人のコーラスだ」ということが強調されていないことが多いのですが、この作品では、珍しく、わかりますね。PIPERの作品だから「他の人の作品ではない」、ということかもしれません。
「AIに村田和人の作品を推薦してもらった(1374)」について、大変恥ずかしいことに、紛らわしくて見逃しておりましたが、Geminiの回答の中で村田作品とされるものの中に「SO LONG MR.」という間違ったタイトルが含まれていました。
言うまでもありませんが、正しくは「SO LONG MRS.」です。
別にここで英語を使う必要は全くないのですが、「オー、ノー」という感じです。
AIの間違いも、当方の見落としも。
人間ではしそうにない、すごい間違いですね。